2024.10.04

病気や障がいのあるきょうだいのサポート

2024.10.04

病気や障がいのあるきょうだいのサポート

 きょうだいに病気や障がいがあり親がサポートをしている、という状況を抱えている方は意外に少なくありません。一方で、親が高齢になり病気や怪我で入院することもあるでしょう。そんな状況になった場合、親の代わりに自分がきょうだいのサポートをしなければならないのでしょうか。今回は、サポートが必要なきょうだいに対してどんな関わり方が必要なのかお伝えします。

●「8050問題」を生まないために
 「8050問題」とは、80代の親が、自立できない事情を抱える50代の子どもの生活を支える社会問題のことです。子どもの社会的孤立の長期化(ひきこもり・障がい・病気・離職など原因は様々)と支える親の高齢化で経済的困窮に追い込まれ、周りに助けを求めることのないまま親子が共倒れになってしまう痛ましいケースが全国で相次いでいます。
親子の共依存により、どんなに切迫しても外側からは見えづらいことで、厳しい状況になるまで支援が届かないことがほとんどです。その背景には、親が子どもに対して出来ることは全部してあげるべきと考える責任感や愛情、「家族の中で解決するべき」という社会的価値観などあるのかもしれません。
しかし、親が一生サポートすることは不可能です。家族の長期的サポートが日常化している場合、外部の社会的なサービスに繋がりづらくなる原因にもなります。親が高齢になれば、介護が必要な状況になる場合もあり、その状態できょうだいのサポートを頼まれたら、親ときょうだいのダブル介護になるリスクもあります。

●親を説得せず地域包括支援センターへ相談
 親が高齢になるまできょうだいのケアを日常的に行なっている場合、病気や障がいのあるきょうだいを、外部の社会的サービスへ繋ぐため、窓口に相談するように提案しても、「まだ大丈夫だから」と受け入れてもらえないことがほとんどです。むしろ、悩み考え抜いた末に辿り着いた状況を否定された気持ちになりショックを受けるかもしれません。
説得するのではなく、親が元気なうちから地域包括支援センターへ相談することをおすすめします。「高齢に差しかかった親が、障がいのあるきょうだいと同居し日常的にサポートをしている」「自分には仕事もあり家族もいるため、きょうだいのサポートに不安がある」など出来る限り詳細に伝えましょう。相談に親の許可を取る必要はなく、親の居住地を管轄する地域包括支援センターへの電話相談も可能です。
 
●子どもと向き合うのは親の役目 
 サポートが必要なきょうだいと親の介護が重なった場合、それを家族だけで支えるのは簡単ではありません。そのきょうだいにとって将来的に必要なサポートとは何かを考えるべきです。きょうだいが病気や障がいを持っていたとしても、社会的なサポートや支援を受けながら、自立して暮らせるように考えることが大切ではないでしょうか。
親のようなケアをしないことに罪悪感を持つ必要はありません。直接関わることだけが、家族ができるサポートとは限らないのです。厳しい言い方かもしれませんが、親自身が向き合わなければならない課題を先送りにした結果なのです。日本の福祉制度がどれほど充実していたとしても、こちらから声を上げなければきょうだいに支援は届きません。

●職場の中も含めて早めに気づく
 自分には当てはまらないと思う方でも、職場の中に同じような状況を抱えている方がいらっしゃるかもしれません。そういった方には、先に述べたように地域包括支援センターへの相談勧めてください。社会的価値観を見直し、誰もがそういった事に気づける目を持つことが、「8050問題」を未然に防ぐきっかけになります。