2020.03.02
【介護のお金講座】金銭的に無理のない介護をするために
2020.03.02
●実際に介護にかかるお金
週刊誌などで老後や介護を特集した記事に
「老後までに数千万円の蓄えを!」などといった見出しを目にしますが…
“介護費用(月額)”は「平均7.9万円」
(『平成27年度 生命保険に関する全国実態調査〈速報版〉』平成27年9月 生命保険文化センターより 在宅介護と施設入所を合わせたすべての介護期間においての平均)
“介護期間”は「平均4年11か月」(同調査)
59か月(=4年11月)×7.9万円=466.1万円
机上の計算では「約470万円」となります。
●介護費用が高くなる例
一方で、家族だけで介護を頑張過ぎて
「今すぐに施設に入所してもらわないと共倒れになる」となってしまうと…
・公的な特別養護老人ホームなどはすぐに入所できない
↓
・リーズナブルな民間の施設は人気が高く、「至急」となると費用の高い民間の施設を選択せざるを得なくなる
↓
・結果として、月々7.9万円では足りない
●介護は早い段階からの準備を
・早くから親の介護の準備をしておけば、選択肢が広がる
→結果、費用が安く済むことが多くなる
・住み慣れた地域で、介護保険や公的サービスを上手に活用
→費用を抑えられ、仕事と介護の両立ができる
・公的な特別養護老人ホームなどへの入所を希望するならば、入居条件の要介護3以上になったら申し込む
→安価な公的な老人ホームを選択肢の一つにできる
・介護保険、医療保険やその他の公的サービスを活用して、最後まで自宅で介護
→親の収入に合わせた費用での介護が可能
●金銭的にも無理のない介護を
「頑張れば支払える」と「民間の老人ホーム」を無理に選択すると、
いずれは金銭的に追い詰められ、大切な家族に対して“長生きを喜べなくなって”しまいます。
また親と同居しての在宅介護も、
介護保険による介護サービスの自己負担が1割負担から、
子どもとの同居で世帯収入が増えて3割負担になってしまうことがあります。
お子さんがいれば、子どもの将来と親の介護のお金を天秤にかけてしまうこともあるでしょう。
親に対しての扶養義務は、子の世代の「余力のある範囲で」と民法上も定められています。
親の介護は、親の財産や収入から支払うことができる、無理のない資金計画を立てることが重要です。
お金を掛けた介護や同居が、介護の質の向上につながるとは限りません。
過剰なサポートより、自分できていたことができなくなってしまうことがあるからです。
ぜひ、客観的な介護のプロの意見を参考に、
お金の面でも無理のない介護をしていただければと思います。