2023.12.06
自治体のサービスを上手に頼る方法とは?
2023.12.06
家族に介護が必要となったとき、最初に思い浮かぶのは介護保険による介護サービスかもしれません。一方で各自治体でも独自の様々なサポートが用意されています。ただ、こちらから申請をしなければ使えないものも多く、使えずに損をしてしまうことがあるのです。
●役所に「とにかく何とかしてくれ」と駆け込むと…
【Aさんの事例】
Aさんは、仕事と親のサポートの両立に悩み、「このままでは親より先に自分が倒れてしまう…」と危機感を覚えていました。
平日9〜17時の役所の時間に休みを取り、総合案内で状況を説明して、やっと介護保険課にたどり着きました。窓口には列ができていて、数十分も待たされ「こんなに混んでいるのに、なんで奥に座っているあの人は窓口対応しないんだ!」と、ついイライラ。
やっと自分の番となり「どのような用件でしょうか?」と聞かれ、日々の疲れと待たされたストレスから「どうしたらいいか分からないから、仕事を休んでわざわざきているんだ!」と八つ当たり的な返事と日々の困り事など一通り話しました。
担当者は「お母様はお一人でできることもたくさんありそうで、使える制度はないかもしれません。まずはこちらに目を通してみて、不明なことがありましたら、またお越しください」と『高齢者のしおり』という冊子を渡されました。
Aさんは「会社休んできたのに、冊子だけ渡されて追い返されるなんて!やはり家族で頑張らなきゃならないのか…」とガッカリすることになりました。
●自治体のサービスを上手に頼る方法
Aさんのような事態を防ぐためには、親が元気なうちから自治体のホームページを眺めておくことが大切です。
【私の生まれ故郷である神奈川県平塚市を調べてみました】
「平塚市 高齢者」と検索
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行政のホームページで「高齢者向けサービス」という検索結果が出て、それをクリック
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「高齢者のためのガイドブック」「在宅高齢者のための生活支援」「介護者向けサービス」など、役立ちそうな項目が出てくる。それぞれをクリックしていくと
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「紙おむつの支給」「在宅時緊急通報システム」「訪問理容・美容サービス」「通院介助事業」「ごみの戸別回収」などが出てきました。
利用にあたって制限がありそうですが、利用価値のあるものが低額で利用できることが分かります。私の母の実家である大分県国東市武蔵町、父の実家である熊本県球磨郡山江村で調べても、多少わかりづらいページではありましたが、行政が提供しているサービスの情報にたどり着くことができました。
●追い込まれてから駆け込むと支援につながりにくい
まずは家族だけでと最初は仕事と介護が両立できていても、だんだんとサポートの量が増えて介護離職に追い込まれてしまった、という方は少なくありません。
自治体のサービスや介護保険で利用できるサービスは、原則、追い込まれてから即座に対応してくれる体制にはなっていません。こういった、サービス利用の柔軟性に課題を感じながらも、利用する側の工夫も必要と考えています。