2020.03.02

認知症家族との向き合い方

2020.03.02

認知症家族との向き合い方

本格的な冬が到来しましたが、体調など崩されていませんでしょうか?

今回は、家族が認知症になってしまった場合、
「その家族とどのように向き合えばいいか」についてお伝えできればと思います。

そもそも「認知症」というのは、
“病名”ではなく下記に挙げるような原因となる病気により引き起こされる
認知機能の低下や日常生活に支障をきたす症状のことをいいます。

認知症の原因となる主な病気
・アルツハイマー型認知症(アルツハイマー病)
・血管性認知症(脳梗塞など)
・レビー小体型認知症
・前頭側頭型認知症  など

診断が難しいため「うつ病」と診断されてしまい、
治療しても状況が改善するどころか悪化してしまい、
セカンドオピニオンにより「認知症」だったとわかったときには
かなり症状が進んでいたということもあります。

親に疑わしいところがある場合、
以下のチェックリストに当てはまるものがないか確認してみてください。

認知症を疑うチェックリスト
・異様に甘いものを好む、濃い味を好む(味覚が鈍くなる)
・機械の操作がわからない
・人との会話を避ける
・人に話を合わせることができずトラブルが起きる
・お風呂のシャンプーやリンスが減っていない(入浴しても髪の毛を洗っていない)
・ティッシュペーパーやトイレットペーパーを切らしたまま
・財布の中に小銭がギッシリ
・小銭を押し入れに隠している
・カレンダーが1か月以上めくられていない
・待ち合わせや約束そのものを忘れる
・車で出かけたのにバスで帰宅する
・自宅近所で迷子になる
※本人の元々の性格で以前から起きているのであれば問題はありません

1つでも当てはまるものがあれば、
早めに「物忘れ外来」などで診断を受けることをおすすめします。
ところが本人に自覚がない場合や、
逆に自覚があるからこそ現実を知りたくなくて診断を拒否することがあります。
そんなときのために、スムーズに受診してもらう「コツ」を合わせてお伝えします。

・健康診断から認知症の診断につなげてもらう
・親のかかりつけ医に先回りで相談して、紹介状を書いてもらう
・ご近所さんなどの友人に誘ってもらう
・自分(子ども)の病院の付き添いをお願いし、一緒に検査をする

ポイントは「強引に受診させない」こと。
ここで家族関係を崩してしまうとその後の介護生活に大きな影響が出てしまいます。
そのため上記のような工夫をしてスムーズに受診することがカギになります。

どうしても受診してもらうことが難しい場合は、
地域包括支援センターに相談してみましょう。
親どんなタイミングで受診をすすめるか、受診ができない場合でも、
どのような支援体制を組んでいくのかを一緒に考えてくれます。

受診により「認知症」とわかっても、
先に挙げたように「原因となる病気」により対応が異なるため、
家族だけで介護をするのは困難を極めます。
だからこそ、介護のプロに頼りながら介護するのが重要になっていきます。
一方で介護の教科書などには「認知症の人と付き合うための基本姿勢」として、
以下のようなことが書かれています。

・話を否定しないで、ゆっくり話を聞く
・関わるときは落ち着いた口調で
・昔の話を興味深く聞く
・安心して会話できる話題を探す

これはあくまで理想であり、認知症により手づかみで
チャーハンを食べるようになった親の姿を、元気だったときと比較せず、
病気だから、と冷静に受け入れることができる人は少ないのではないでしょうか。
以前のキャラクターを無視して「認知症の人と付き合うための基本姿勢」に基づいて
介護に徹することができればいいのですが、
「元気だったころの姿」を知っている家族だからこそ困難を極めます。
だからこそ、他人である介護のプロの手を借りることが非常に大切になります。

親が「認知症」になっても、
その人の人生が終わってしまうわけでありません。
さまざまな支援を受けながら、
これまでと同じような暮らしを続けることも可能になります。

そのための体制づくりが上手にできれば、
働きながら介護することも不可能ではありません。