2023.08.02
親の介護〜心配や不安とどう付き合うのか
2023.08.02
「近い将来に親に介護が必要になるかもしれない」と考えた時、はじめに何を思い浮かべますか?まずは心配や不安を感じる方が多いのではないでしょうか。今回はそういった感情はどこから来るのか、また上手に付き合うにはどうしたらいいのかをお伝えします。
●家族介護で起きる「負のループ」とは
親の介護というものは、正解や答えのあるものではありません。ただ、親の老いを食い止めることは誰にもできません。どんなに頑張っても、尽くしても仕事のように改善できたり、評価されることはないでしょう。さらに、必ず悲しいお別れが訪れます。そんなマイナスのイメージの家族介護。親の介護を冷静に受け止められない要因はここにあります。
親との同居を選択して、親の行動に制限をかけたり、親が自分で出来ることでも自分がやったほうが早いと手を出してしまうケースがあります。そうすると、親も子どもを頼るようになり、依存関係が生まれていきます。さらに、子は親にイライラして、怒りをぶつけてしまうということも増えていきます。こうして、親のためにと決断した行動が、親子関係が険悪になっていく負のループに陥ってしまいます。
●支える側の不安解消のための介護
自分が親を見守っていないと心配、何をしでかすか分からないから不安。そういった「自分自身の不安」を解消したくて、ついつい余計な手を出してしまう。こういった「親のために!」の裏に隠れた感情は、介護が始まってから気がつくことが難しく、気づかないままに介護を終えて、「結局自己満足だったのでは」と後悔の気持ちに苛まれてしまいます。
●親との距離感の大切さ
介護が始まってからでは、自分自身の気持ちを振り返る余裕もなくなります。冷静な判断が出来ない場合や、心理的に苦しさがのしかかってくると想像できる場合は、まず物理的に距離をおくのが最も有効な手段です。
冷静に考えれば、近くで見守ることで不安を解消できるどころか、親の老いを直視し過ぎることで、さらに不安が強くなるのは当然ですが、それに渦中にいると気付けなくなってしまうものです。
●優しくできる余裕を持つことを最優先する
不安を抱えながら上手に付き合える距離感を維持することが、負のループにハマらない適切でかつ唯一の方法です。まだ先のことだとしても、親が病気や怪我で介護が必要になった場合とき、まず始めに考えることは親のことではなく、「無理のない範囲で自分ができることは何か」を客観的かつ冷静に検討してください。まず自分の生活を大切にすることが、最期まで親子関係を良好に保つことにつながります。