2023.05.17
親の介護にお金の心配は必要ない!【後編】
2023.05.17
企業での個別の介護相談では、「介護とお金」に関する相談が後を絶ちません。そこで、【前編】と【後編】の2回に渡って、「介護におけるお金の心配は必要ない」という理由についてお伝えします。
●お金があっても不安は解消されない
たとえお金がたくさんあったとしても、介護の不安が解消できるわけではありません。高額な費用を支払い、24時間安心できる施設へ入居ができたとします。でも、それが親自身の望みや幸せを叶えようとするものでなければ、決していい介護とはいえません。
高額な老人ホームに入居しても、気ままで慣れ親しんだ生活を求めて、築50年の家に帰りたいと毎日家族へ電話する方もいます。家族の不安をお金で解決する介護になっていないかを考えることで、このような事態を防ぐことができます。
●介護保険で使えるサービスでは足りない?
介護保険制度を利用することで、訪問介護(ホームヘルプ)やデイサービスなどさまざまなサービスを1〜3割の自己負担で受けることができます。「うちは介護認定が低いから受けられるサービスが少ない」と訴える方もいらっしゃいますが、介護認定が低いということは、今は多くのサポートは必要がないということです。
介護にかかるであろう時間に応じて介護認定の程度が決められ、その時々で必要な支援やサービスを受けられるようになります。過剰に介護サービスを利用すれば、サービスに頼りすぎて介護状態が促進されてしまうことにもつながります。
介護保険制度は家族の不安を解消するための制度ではなく、介護を受ける方のために必要な自立支援を目的としたもの、ということも忘れないでください。
●親が元気なうちから地域包括支援センターへの電話で不安を和らげる
まだ介護を必要としなくても、親の生活に不安を感じたら、親が住んでいる地域の地域包括支援センターへ相談しておきましょう。電話でも相談することが出来ます。
介護が必要になった場合にどんなサービスを受けられるのか、どんな手続きがいるのかなどを知っておくことも安心材料になります。介護がはじまる前から、公的機関とのつながりを持って、気軽に相談ができる体制を整えておくことも、不安とうまく付き合うために効果的です。
●家族介護で大切にするべきこと
元気だった親が老いて、出来ないことが増えていく。そんな姿を近くで見守るのは決して簡単なことではありません。悲しさや悔しさも湧き上がっていくでしょう。ただ、介護のために自分の生活を大きく変えると、後々どこかで親に怒りを向けてしまう日が来てしまいます。
家族介護で大切なのは、親がどんなに衰えても、突然に病に伏せることがあっても、親子の関係が崩れないことです。それが親にとって大きな支えになります。まずは、介護を1人で抱え込まずに、自分の生活を第一に考えて気持ちに余裕がもてるよう、できる範囲で関わるようにしましょう。