2022.10.31
看取り期も早期相談が大切~家族は思い出話に花を咲かせよう~
2022.10.31
介護をしていればいつかは迎える「看取り」。どのように看取りを迎え、準備をすれば良いのかなどポイントをまとめてご紹介します。
●家族は時間を共有することが大切
看取りは家族で行いたいと、すべての介護サービスを断る方がいます。ただ、ご家族で介護を担ってしまうと、どうしても穏やかに関わる余裕を失ってしまいます。この場面でご家族にしかできない役割は、場・時間を共有すること。身体的ケアや適切な言葉かけは、これまで通り介護のプロにお願いして、「どんな人だったのか」「どんな思い出があるのか」など、たくさんの会話をすると良いでしょう。
●可能であればテレワークを活用しよう
介護でのテレワークの活用は、離職リスクを高めてしまいますが、看取りの段階では、バランスよく関わる方法としてテレワークが有効です。
限られた時間でも、日々弱っていく家族を目の当たりにし過ぎると、穏やかに関わることが難しくなります。仕事という“逃げ場”を作っておくことで、心に余裕が生まれ看取りに向き合いやすくなります。
看取り後、職場復帰の負担を下げるためにも、看取りの場面にテレワークを活用することをお勧めしています。テレワークを活用できない職場でも、出勤しながらバランスを取る、介護休暇・休業を活用する、といった関わりができます。いずれの場合も、自身の気持ちに余裕をもって関わる方法を考えることが重要です。
●看取りの準備をするタイミング
看取りへの準備で注意するべきことは、延命治療や最期を迎える場所など、具体的手段に話が終始してしまわないことです。認知症であれば本人の意思確認が困難なこともあるため、「その人がそれまでどのような価値観や判断基準で生きてきたのか」など具体的なエピソードなどを思い出しながら、話し合いを繰り返していきましょう。
看取りを迎える場所は、ケアマネジャーなど支援者も入れて話し合うのが良いでしょう。ご家族としては本人の意思を尊重して「自宅で」という気持ちがあるかもしれませんが、ご家族の負担が過度になった際の入院・入所も選択肢として検討し、「最後までできる限り穏やかに関わる」ことを優先させましょう。
●頑張った人ほど後悔が残る
頑張って介護してきた人ほど、終わった後の後悔が強く残る傾向にあります。まず一つに、生活における介護が占める割合が大きいと喪失感が強くなります。二つ目に、自分の時間ができて気持ちに余裕をもって介護を振り返ったとき、“誰のためにやっていたのだろう”“自己満足だったのではないか”と考えてしまうからです。
後悔をゼロにするのは無理に等しいですが、一人で抱え込まず家族やケアマネジャーなどの支援者と話し合いながら、気持ちに余裕をもって関わることで、後悔を減らすことができます。看取り後の自分の生活を大切にすることが重要です。それが、看取られる方の望みだと考えています。
●早い段階で相談する
看取りにおいて大切なことは、様々な人に相談することです。最期について話をすることはどうしても避けてしまいがちですが、容態が安定した段階からプロに相談をすることで、余裕をもって家族の最期を受け止める準備ができます。