2022.06.29
無意識なままに我が子をヤングケアラーに?
2022.06.29
ヤングケアラーとは、日常的に家事や介護に携わる子どものことで、現在、1クラスに1人の割合でいるといわれています。親や祖父母、障害をもつきょうだいの介護をしている場合が多く、周囲からは優しい子と見られがちです。ただ、その環境は多くの危険をはらんでおり、親はできる限り、我が子をヤングケアラーにしないように努めるべきです。
●ヤングケアラーはなぜ生まれるのか
子どもが勝手に介護するとは考えづらく、ヤングケアラーには必ず“任命者”がおり、その多くが親です。ヤングケアラーは、“お手伝いの延長”として介護を担い、「大変だ」「やめたい」と言いませんが、子どもたちは多くのものを失っていきます。
●ヤングケアラーは自身ではSOSを出せない
相談する場所があっても、ヤングケアラーが自ら相談することはほとんどなく、介護を当たり前の日常だと思っています。また、「周囲から可哀そうなヤングケアラーと思われたくない」といった想いもあり、介護を抱えていることをオープンにできる子どもは少なく、学校生活に支障が出て、周囲がヤングケアラーだと気づいたときには、状況は悪化しており、届けられる支援も限られてしまいます。
●毎日晩御飯を作る子どももヤングケアラーか?
親の体調不良により子どもが毎日買い物に出かけて晩御飯を作っている、というのは直接ケア・介護に関わっているわけではありませんが、一般社団法人日本ケアラー連盟の定義によれば、ヤングケアラーに当たると言われています。
きょうだいの世話、祖父母の見守り、親の看病など、周りが「若いのに偉いね」と言う行動がヤングケアラーのサイン。「昔はもっと大変だった」という指摘もありますが、少子化が進み、親の共働きが増えた現代では、優しい気持ちで家族のサポートを続けた結果、子どもの将来を毀損する可能性があるのです。
●我が子は大丈夫?ヤングケアラーの見極め
我が子がヤングケアラーになっていないか見極める方法は、介護やケアに関わりその子の生活や将来に影響・制限が出ていないかということ。
決まった日時の被介護者への声かけ、仕事をしている自分の代わりに子どもが祖父母の見守りをする、“お手伝い”と思える行為が子どもの生活に影響を与えているのではあれば、その子はヤングケアラーです。それがエスカレートすれば、社会的自立の阻害、意思決定が困難になるなど、その子の将来に大きな影響を与えます。
●ヤングケアラーにしないために親ができること
子ども自身が相談しない以上、近所の人も先生も止められません。親が、我が子がヤングケアラーになっていないか見極め、判断する必要があります。
家族全員の10年後、自身は共働きで、親と同居をはじめた場合、子どもはヤングケアラーになる可能性が十分にあります。障害のあるきょうだいがいる場合もで、子どもがケア要員になります。
家族でなくても、10年後を想像すれば、甥っ子、姪っ子をヤングケアラーにすることを防げます。
●迷ったらすぐ相談!子どもたちの将来を守れるのは大人たち
そう言われても、どうすれば良いのかわからない人は、公的な機関の地域包括支援センターへご相談ください。早めの相談で、介護者・被介護者にとって継続性のあるよりよい介護を考えることができます。
障害児がいる場合も、きょうだいをヤングケアラーにしないため障害があるとわかった時点で、総合相談をしている相談支援センターへご相談してください。
親の介護をした高校生が言いました。
「自分から(周囲と)離れていった。青春を捨てたんで。社会から断絶されるのも自分のせい」
この言葉を我が子から聞きたい親はいないはず。小さなことでも早めの相談が、子どもの人生を守ります。
https://www.tonarino-kaigo.org/download/
こちらで「ヤングケアラー発生防止への提言~子どもを介護の担い手にしないために~」を公開しています。ぜひ、ご一読ください。