2022.04.06

コロナ禍の反省から“親は言うことを聞いてくれないもの”と考える

2022.04.06

コロナ禍の反省から“親は言うことを聞いてくれないもの”と考える

 「親が自分の言うことを聞いてくれない…」

 コロナ禍の企業の介護相談で、このような相談が増えています。

●【ケース1】母親との将来が心配
Aさんは、コロナウイルス感染を恐れて母親に「買い物は私がネットで注文するので、出歩かないで欲しい」と提案。ところが、母親は「自分の目で確かめたいし、外出が気晴らしになる」と拒否。
ほかにも、良かれと提案することを「私を監視するの?」と怒り、だんだん話しづらくなったといいます。そして、「あのガンコな母親に、介護が必要になったらどうしよう…」と悩んでいました。

●【ケース1の適切な対応】
 Aさんの提案は「感染リスクを回避」という面では、正しい。

ですが、Aさんの提案を押し通したり、母親の意見を差し置いたりすると、対立関係となり親子関係が悪化することもあります。

家族介護で一番大切な親子の信頼関係の崩さないためにも、まずは母親の意見を尊重して、無理のない範囲でのサポートが重要です。

●【ケース2】父親を支えるために…
 職場の出勤制限のためテレワークとなり、認知症の母親の介護のために実家へ戻り父親のサポートしたBさん。

認知症についてネットや書籍で学んだBさんは、常にイライラする父親へ「母さんに、優しく関わるべきだ」とアドバイスするも、父親はプライドもありBさんの指摘を素直に受け入れません。

 Bさんと険悪になりながら母親の介護を抱え込んだ父親は、ストレスで胃潰瘍になり入院。そのうちBさんも限界となり、母親はショートステイへ。父親から「なぜ母さんを家で介護しないのか!」と責められ、「親のために実家に戻ったのに…」と、顔を曇らすBさん。

●【ケース2の適切な対応】
 コロナ禍で物理的・心理的にも親との距離が近くなり、「親の生活の実態がわかりやすくなった」という声がありますが、Bさんは1人で抱え込み過ぎて、状況を悪化させてしまいました。

高齢の親の生活に不安があれば、「この機会に!」と地域包括支援センターなどの介護のプロに相談をしてください。Bさんは母親のケアマネジャーに、まずは相談するべきでした。家族介護で大切なことは、直接的な介護はプロの助けを借りるということです。

 「子どもが親を説得して、介護するのが親孝行」という考え方が、状況を悪化させ、親子関係が悪化する原因となり得ることに気付いてください。