2022.03.30
自宅か施設か、「高齢の家族の住まい」をどう考える?
2022.03.30
離れて暮らす家族に介護が必要になったとき、「いつかは施設のお世話になるかも…」という思いを持たれた方もいらっしゃるかもしれません。
そこで「高齢の家族の住まい」を考えるためのポイントをまとめてみました。
①無理のない介護体制づくりが大切
在宅介護の現場で目にしたケース
●娘さんが認知症の母親と向き合えず接触を避け、不衛生な部屋に放置…
●介護が必要な家族を外から施錠し、部屋に閉じ込める…
極端な例かもしれませんが、「在宅介護」にこだわり、『家族の絆』が失われ、「介護が早く終わってほしい…」となるケースは少なくないのです。
大切なのは、家族として愛情をもって接する余裕を生むための介護体制づくりです。
②「自宅ではもう限界!」となってからでは遅いワケ
日々介護相談を受けていると、「できる限り在宅で、いざとなったら介護施設」と考える方がとても多くおられます。
しかし、良い介護施設を選ぶには、複数の施設を見学し比較検討が必要なため、ある程度時間が必要になります。コロナ禍で見学が難しくとも、現場のスタッフから話を聞くなど、出来る限りの情報収集が必要です。
「いざ」という段階は、日々の介護で手一杯になり良い介護施設を探す余裕がなくなってしまいます。そのため介護施設に満室などと断られると「何とか最期まで在宅で…」と施設入居を諦めて、時に仕事を辞める選択をする方も少なくありません。
③早くからの介護サービス利用がおすすめ
最期を迎える場所は「自宅」か、「介護施設」か。
ホームヘルパーやデイサービスなど、早い段階からの介護サービスの利用が大切です。他人のサポートを受けて日々を過ごすことで、「(介護を受ける家族は)どんな環境だと穏やかで居られるのか?」と考える余裕を持つことができます。
「とにかく家族が介護すべき」と懸命に頑張った結果、介護を受ける家族のことを考える余裕がなくなり、急かされるように、自宅か施設か選択を迫られる状況は好ましくありません。
④元気な今だからできることは、“その人らしさ”を知ること
好き・嫌いから意外な一面まで知ることは、 “その人らしさ”を見出すきっかけになります。
「お父さん(お母さん)は、こういうことを大切にしてきたんだね」と声をかけてみて、無理のない範囲で確認してみるのもよいでしょう。
本人のことを想い、時間をかけ考えた結果であれば、「自宅」「施設」どちらの選択も間違いではありません。その考えるプロセスこそ親孝行であると考えています。