2022.03.16

認知症となった家族のお金を上手に管理する方法とは?

2022.03.16

認知症となった家族のお金を上手に管理する方法とは?

「認知症になると本人名義の口座は凍結されるのでしょうか?」個別の介護相談でよく伺う質問の1つです。

●必ず凍結されるわけではありません!
 高齢者の5人に1人が認知症になると言われている2025年に向けて、金融庁は「認知症高齢者の預金引き出しに関する指針(ガイドライン)」の作成を銀行業界に働きかけています。家族が本人の生活のために本人の代理で預金を引き出しやすくするためです。
 詐欺や私的流用の防止のために書類手続きが必要な場合がありますが、親が認知症となったからと言って、いきなり口座が使えなくなるようなことは、実際は殆どありませんのでご安心ください。
「認知症になったら本人名義の銀行口座は使えなくなる」という誤解から、生活費や介護サービスの費用を子どもが負担し続けてしまうケースが少なくありません。親子関係が崩れないためにも、出来る限り「介護は親のお金で」という基本姿勢は必要不可欠です。

●多額のお金を失うケースも
 私の個別の介護相談では、高額布団の売り付けや振り込め詐欺などで多額の財産を失うケースもありました。親に物忘れが疑われた早い段階から、その状況に合わせて家族が管理する方法を検討していただくことが重要です。

●認知症だからと、すべてを取り上げない
 一方で「認知症で詐欺被害に遭ったら大変だ!」と心配のあまり、すべての財産を取り上げてしまうと、「なんで親のお金をとりあげるの!」と家族関係がくずれてしまうことがあります。紛失しても生活に影響がない金額は本人に管理してもらうなど、認知症の進行に合わせつつ、本人の気持ちを大切にした管理方法を考える必要があります。例えば買い物をすることが、生活意欲を引き出し、身体を動かし計算をする生活リハビリに繋がるからです。

●家族のお金を管理する上での注意するべきこと
 きょうだいや親戚とのトラブルを避けるためにも、口座から引き出す際には、少額でも用途が明確にわかるよう記録をつけておきましょう。それでも、親の財産で身内と揉めることが予測される、忙しく管理が難しい、といった場合は、成年後見制度の利用を検討しましょう。地域包括支援センターやケアマネジャー、法的なトラブルの解決を案内する公的機関の「法テラス」でも相談できます。