2022.03.02
身体が自由に動かせない家族への介護
2022.03.02
個別の介護相談で「身体が動かなくなってしまった親の介護を、家族だけで続けていくべきか? あるいはプロの手を借りるべきか?」をいう相談を受けることがあります。働きながら家族介護をされていて、時間の制約がある方こそ、こちらのコラムを、ぜひ参考にしていただきたいと思います。
●プロから直接学ぶのが効率的
結論から申し上げると、私は「早い段階から、プロの手を借りるべき」だとアドバイスしております。
介護関連の本を読んだり、ホームヘルパーの講座に通い、プロ並みの介護技術を体得しようとする方がいます。“大切な家族のためにできる限りのことを!”という想いを持つことは、大変素晴らしいことです。ただ、その結果、なんでも自分で頑張り過ぎてしまう方が少なくありません。
また、ホームヘルパーの講座は認知症介護から身体介護まで総合的に学ぶこととなります。自身の家族の介護に必要な情報や技術は講座の一部だけということもあります。それならば、必要な情報や技術をいつも来ているヘルパーさんに教えてもらうほうが、働きながら介護をする忙しい方にとっては効率が良いのではないでしょうか。
介護の実際の場面では、教科書通りにはいかないことも多々あります。さらに、介護される人の状態は日々変化していきます。それにいち早く気づき、現場で培った経験からその時々でベストな対応をしていくためには、複数のケースを介護した経験が必要不可欠となります。家族介護の中で、そういった経験を得るのは非常に難しいのが現実です。
●ビクビクする様子は介護される側にも伝わる
寝たきりになった旦那さんの介護をしていた奥さんが、旦那さんを起き上がらせたときに下敷きになりケガをしたという話がありました。そのような経験をすると以後の介護が怖くなり、ビクビクしたものになってしまいます。それは介護される側に伝わります。そこはプロの安心できる技術で、心地よい介護をしてもらうことが、介護を受ける本人はもちろん、家族にも安心して任せられることで、心穏やかな日々につながります。
プロの手を借りることで心に余裕を持ち、身体が動かなくなってしまった親の辛く不安な気持ちに寄り添うことも、ご家族だからこそできる立派な介護です。ただ、それは介護する側の心身共に元気でないとできません。だからこそ、早くからプロの手を借りて余裕を持つことが非常に重要となるのです。