2021.11.17
後悔のない介護をするためには?
2021.11.17
日々の介護相談でお話を伺うと「家族の介護で後悔したくないから、親の近くにいて出来る限りのことをしてあげたい」と考える方が少なくありません。コロナ禍では、病院への入院や老人ホームに入所している親に自由に会えない状況が続き、「このまま何もできず、後悔が残るかもしれない」と不安になり、「後悔したくない」という想いがさらに強くなっている傾向があります。
●介護を頑張った人ほど、後悔が残る!?
家族を看取った後の相談を受けることも増えてきました。そこで分かったのは“介護を頑張った人ほど、後悔が残る”ということ。なぜなら、親に喜んで欲しいと「(自分が)あれも、これもやってあげなくては!」と一人で抱え込むうちに、親からは「もっと、こうしてほしい」「ああしてほしい」と要求が増えていきます。それらの要望には、すべて答えられるはずはなく、介護が終わると「あのとき、もっと〇〇できたのではないか?」という想いが強く残ってしまうのです。
どんなに頑張っても、介護される側の要望を100%満たすことは難しいものです。家族という近しい距離感ゆえ、介護を受ける側も、募る不安や恐怖も含んだイライラする気持ちを介護する家族にぶつけてくることもあるでしょう。そんな家族の姿を見て、「私はこんなに頑張っているのに、どうしてそんな顔をするの!」と、介護する側も優しくできなくなり、ついイライラをぶつけてしまう。そのイライラしてしまったことに対しても強く“後悔”している方が少なくありません。
●どうすれば、後悔の少ない介護ができるのか?
“後悔”の全くない介護はない、ということを理解いただくことが重要です。それでも、“後悔”の少ない介護をするために必要なのは、「今、何をするのが、(介護される人にとって)一番なのか?」を一人ではなく、プロも含めたいろいろな人たちと考えることです。介護される人が抱える不安や恐怖に巻き込まれず、上手く受け流せるぐらいの余裕を持つことが重要です。
介護をされる側も、できれば感情の衝突はしたくないでしょうし、残していく家族に“後悔”され続けると、申し訳ない気持ちになると思うのです。
最後に忘れてはいけないのは、「後悔を残さない介護」のために、自分がどれだけ頑張って支えるか、というのは介護する側の想い込みだということ。何より優先するべきは、「介護を受ける人が穏やかな生活を送る」ということです。結果として「後悔の少ない介護」につながります。