2021.09.08

同僚や部下の介護離職を防ぐ方法とは?

2021.09.08

同僚や部下の介護離職を防ぐ方法とは?

●「相談がないから大丈夫」ではない!
介護をしている同僚や部下から「介護に関する相談がないから大丈夫」と安心してはいけません。かなりの時間を家族介護に費やしていながら、会社には一切伝えていない“隠れ介護”状態の方が労働人口の5人に1人も存在していると言われています(日経ビジネス『隠れ介護 1300万人の激震』より)。
そこで、「自分の親の時も大変だったから、何かあったら、早めに声をかけてね」「実は、自分も親の将来が不安なんだよね」と普段から伝えておくことが、何かあった時に声を上げてもらえる可能性を高めることができます。“隠れ介護”が深刻化してからでは、下記のようなプロセスをたどり、大切な人材が介護離職に追い込まれてしまいます。

1.介護疲れから仕事にミスが目立つようになる
2.要介護者の体調不良などによる急な休みが増える
3.これ以上迷惑をかけられないと介護離職を選択してしまう

●ただ、聞き役に徹するだけで効果大!
家族介護に悩む方のサポートで、誰にでもできる非常に効果的な手法は「聞き役に徹する」こと。当事者たちも、人に話すことで自分の考えが整理でき、介護の話がしやすい雰囲気作りにもつながります。
話を聞く際の注意点として、あなたに介護の経験があっても、解決策やアドバイスの提案は控えてください。介護は家族関係や要介護者の病状などによって千差万別。あなたに有効な手法でも、他の方に当てはまるとは限りません。
まずは、当事者たちの現状をじっくり聞き、地域包括支援センターへの相談をすすめるなど、介護のプロに繋げてください。

●テレワークで仕事と介護は両立できない?
 コロナ禍でテレワーク利用のハードルが下がり、「介護が大変なら、テレワークを活用してはどうか?」と、良かれと思って提案される方が少なくありません。
しかしその結果、仕事も介護も上手くいかなくなったという相談が急増しているのです(東京新聞『介護とテレワーク 難しい両立 負担感と不安増し疲弊 職場は孤立させない配慮を』参照)。
「介護休暇を取って、介護をしたら?」という提案も、直接的に介護へ関わってしまったことで仕事に戻れなくなり、最終的には介護離職に繋がってしまったケースをたくさん見てきました。
 いずれの提案も同僚や部下を思っての優しさによるものだということは、十分に理解していますが、残念ながら、テレワークや介護休暇・休業を活用して、直接の介護に関わった方は、仕事と介護の両立がより困難な状況に追い込まれています。

●働きながら家族介護は、誰にでも起こり得る問題
今の日本の人口構造から考えると、定年までに殆どの人が、何らかの形で家族の介護に関わることになります。「プライベートなことを職場では言う必要はない」という方もいますが、プライベートなことも言える環境こそ、自身も、同僚・部下も、介護離職をしないための雰囲気づくりとなります。