2021.04.07
不用不急の外出が自粛要請される中、デイサービスは控えるべき?
2021.04.07
新型コロナウイルスは持病のある人や高齢者は重症化しやすく、施設に通い介護サービスを受ける「デイサービス」の利用を家族の判断で控える動きがあります。
●デイサービスは“不要不急でない”
デイサービスは、一般的なイメージから「私たちの娯楽であるカラオケや外食と同じで、不要不急では?」という声があります。元デイサービスの職員として、「それは大きな誤解」だと思うのです。
・レクリエーションは、楽しみながら生活の質を向上。カラオケも口を動かすことで誤嚥性肺炎の予防や脳を活性化し認知症(進行)予防など、「支援上の目的」が存在
・看護職員のバイタルチェック(呼吸・体温・血圧・脈拍など)で、変化があれば医療に繋げる
・入浴介助で皮膚などカラダの状態を確認、安全面に配慮し心地よい入浴を行う
・栄養バランスや食べる力に応じた食事(刻み食など)を提供
・利用者の社会的孤立を防ぐ
・家族が介護からレスパイト(休息)できる など
厚労省は緊急事態宣言の発出後も、全国の介護サービス事業所に向け、利用者に必要な介護サービスの提供を継続するように求める通知を出しています。
●介護施設でのクラスターが心配
以下の数値で考えると少し冷静になれると思います。
・全国の通所介護サービス系の施設数【約60,000カ所】(厚生労働省「介護サービスの情報公表システム オープンデータ (mhlw.go.jp)」より)
・高齢者施設のクラスターの累計【928カ所】(2021年2月5日読売新聞朝刊より)
・発生率【約1.5%】 ※入所系施設も含まれるため、実際はより少ない確率
一方で、利用控えで経営難となり、休業・廃業するデイサービスが増えています。私はこれが、今後大きな問題になると考えています。利用控えから要介護状態が悪化し、ワクチン接種が進んだ後にデイサービスの供給量が不足するかもしれません。
●利用控えのデメリット
・家族と社会的に孤立
・運動量が減り、生活の質が低下
・家族が病状の悪化に気づけない
・家族だけの入浴介助で転倒
・食事の栄養が偏る
・家族が介護疲れで倒れる など
新型コロナウイルスは、脳梗塞、認知症、転倒骨折などの要介護者の生活リスクが増えた1つ増えた、と考えることもできます。どうか、アフターコロナを考えた判断や対応をしていただければと思います。