2020.10.26
コロナ禍で家族の介護が辛くなったら、すぐその場を離れてください-家族介護を担う人たちへのお願い- #ストップ介護自殺
2020.10.26
「コロナ禍で家族の介護がつらくなったら、すぐその場を離れてください」
今、このメッセージを緊急でみなさんに伝えたいのです。
●なぜ「緊急」で伝える必要があるか?
コロナ禍の中で、オンラインで開催している個別相談や介護セミナーで皆様のお話を伺っていると、「このままではいけない!」と強い危機感を抱くようになりました。
たとえば、
・感染拡大が収束しない都会から、地方に住む両親のもとへ介護のために通いたいが、周りの目が気になり、自分のもとに呼び寄せて同居することにした。
・持病を抱える高齢の親の感染をおそれ、デイサービスやヘルパーの利用を自己判断で中断。在宅勤務となったため、自分が介護全般を担うようになった。
など、コロナ禍で介護を取り巻く環境に変化が起き、家の中という密室で、介護する側、される側がストレスフルでつらい日々を送ってケースがかなり増えてきました。
●あなたにも無関係でない事件
当法人が毎週月曜日に配信している「みなさんの介護のお悩みに答えるポッドキャスト(ラジオ)」に、下記のような相談投稿をいただきました。
・介護の中での「兄弟の関わり」について
相談者は兄弟や母親に、父親の介護の大変さをわかってもらえず、「なんで自分だけ…」と、追い詰められています。この相談に対して、私は「その場を離れてください」と答えました。そのまま介護を続けていると「まさか、そこまでは…」といった下記のような悲劇がいつ起きてもおかしくないと感じたからです。
2019年10月、神戸で認知症の祖母の介護に追い詰められた22歳の元幼稚園教諭の孫が、祖母を殺害。その裁判で語られた被告の現実に注目が集まりました。
『仕事と介護で睡眠2時間 相次ぐ暴言、徘徊を我慢 祖母殺害へ至る過酷な日々』
●「もうダメだ」と思ったら
無責任に聞こえるかもしれませんが、「もうダメだ」と思ったら、その場から離れてください。ストレスが限界を越えると、理論的に話し合ったり、冷静に物事を考えることができなくなるからです。
●「その場から離れた」後は
周りにSOSを出してください。まずは地域包括支援センターに電話で相談しましょう。そこから先のことは、外部の人と一緒に考えていけばいいのです。神戸の事件で、被告の孫は事件の前日に自殺未遂を図りました。介護うつの症状が進むと「自殺願望」を抱くこともあります。そんなときは…
・こころの健康統一ダイヤル(厚生労働省)
ナビダイヤル:0570-064-556
・日本いのちの電話(日本いのちの電話連盟)
フリーダイヤル:0120-783-556
・認知症の電話相談(認知症の人と家族の会)
フリーダイヤル:0120-294-456
冷静な判断をするためも“誰かと話す”ことが重要です。
●「地域包括支援センター」は介護における「児童相談所」的な役割も
あなたの周りにコロナ禍で家族の介護でつらい思いをしている人がいたら、匿名でも「地域包括支援センター」へ電話で、その状況をお伝えください。子どもが虐待を受けていたら、「児童相談所」へ匿名で通報できることは周知されつつありますが、介護においてその役割は「地域包括支援センター」が担っています。
●まず、あなた自身を大切に
「介護がつらい」と思ったら、「何のために介護を頑張っているのか?」と、胸に手を当てて考えてみてください。介護している人が望むことを考えられなくなったら、その手を止めて、とにかく周りにSOSを出して欲しいのです。コロナ禍で最悪の事態に陥る前に、「その場から離れる」ことを、どうか最優先にしてください。一番大切にするべきは、あなた自身であることを忘れないでください。介護を受けている方にとっても大切なあなたを、もうこれ以上に傷つけないでください。
日々、介護相談をしている者からの切なるお願いです。
#ストップ介護自殺
となりのかいごでは、無料のオンラインイベントも実施しております。
ご興味・ご関心のある方はぜひご参加ください。