2020.09.30
介護が必要な親と適切な距離を取ることの意味とは
2020.09.30
母親の介護をしている男性から、下記のような相談を担当のケアマネジャーが受けました。
●泊まり込みで母親を介護する息子からの相談
・いつも深夜まで起きていて不健康
・早く寝て、リハビリ中に愚痴を言わず、もっと真剣に取り組んで欲しい
・毎晩「早く布団に入ってくれ!」とつい怒鳴ってしまう
●介護に関する親子の問題を解決するには…
ケアマネジャーが、母親の状況を確認すると、
・日中は眠くなるが、深夜の方が落ち着いて海外ドラマが見られる
・ストレス解消が出来ているし、不健康と言えるほどの状況ではない
・「眠い」と言いながらも、日中はリハビリに通えている
・息子から早く寝るよう急かされるのが苦痛
と、課題が整理され「母親の夜更かしに困っているのは息子で、母親はそれほど困っていない」ことがわかりました。
ケアマネジャーは改めて息子と面談し、「母親は息子から言われると余計意固地になってしまう。朝リハビリに出かける前にヘルパーを付けて様子を見てはどうか」と提案。それにより、息子は朝の支度のために泊まり込みの介護を止めたことで、気持ちに余裕を持って母親と関わることができるようになりました。
もし、泊まり込みの介護を続けていたら、息子が疲弊した末に倒れてしまい、その時点で息子の支援なしで生活できる体制がないために、母親は緊急で施設に入所させられていたかもしれません。
●(介護を受ける)本人が困ってなければいい
家族の介護に行き詰っている方の中には、“誰が困っているのか整理できていない”ケースが少なくありません。難しいことは十分承知で申し上げますが、「(介護を受ける)本人が困ってなければいい」という気持ちで、家族介護に臨んで欲しいと考えています。
プロであっても難しいからこそ、介護職自身が常に介護を受ける人の立場で考えられるように、研修などでおむつや車いすを体験することもあります。
●早い段階からプロと一緒に考えていく
だからこそ、早い段階から家族だけで抱え込まず、プロの力を借りて「どんな生活が本人とって心地よいのか」、また「介護を受ける人が発する言葉聞き入れ続けることが最善とはいえない(=やりすぎ介護になるケースがある)」など、≪介護を受ける人の立場≫で考えることが、介護において問題解決の近道となることもあるのです。